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2024/11/05

台湾人の大腸がん、80年代生まれが高リスク/台湾

台湾の国立台湾大学公共衛生学院の研究によれば、台湾の大腸がんの罹患リスクが最も高いのは、1980年代に生まれた「7年級(民国70年代生まれ)」だった。学者は、80年代に台湾の食生活の西洋化が進んだことと関係があると分析している。

台湾大学の研究チームは、大腸がん検診の対象拡大が遅れれば、早期発見効果が低下するとして、政府に対し早期な対応を呼び掛けた。

研究の結果、大腸がんの発生率は1920年代生まれから上昇し始め、1980年代生まれが最も高かった。性別の罹患リスクは、女性は1980年代生まれから後は下降した一方、男性は上昇が続く。

 台大医学院附設医院健康管理センターの邱瀚模・主任は、研究結果によると、家計を支える40歳過ぎの人の罹患リスクが最も高いと述べた。

 大腸がんと新たに診断される人は毎年1万5000人以上で、1日当たり41人が大腸がんの診断を受けている。9割は50歳以上だ。2023年にがんで死亡した人のうち、大腸がんの死亡者は6791人で、3番目に多かった。死亡率は人口10万人当たり29.1人だ。

台湾の国民健康署は50~74歳の市民に対し、大腸がん検診を2年ごとに無料提供している。大腸がん発生の若年化を受け、対象年齢を45歳からに引き下げる計画だ。10年で罹患者を1800人減少させると見込んでいる。

 健康診断を専門に行う、台北市北投健康管理医院の梁程超・副院長は、「大腸がんは食べた物が原因」と指摘した。加工肉を頻繁に食べる人は罹患率が高い。脂っこい食事や肉の多い食事の人、食物繊維が不足している人、喫煙者はリスクが高いと言われている。梁・副院長は、大腸がんまたは多発性ポリープの家族歴がある人は、40歳になれば、大腸カメラ検査を受けるよう推奨した。家族歴のない人も定期的に便潜血検査を受け、45歳から大腸カメラ検査を受けるよう推奨した。

 大腸がんは見つかりにくい病気と言われている。早期発見のためには検査が第一だ。便潜血検査で陽性だった場合、2人に1人が大腸ポリープ、20人に1人は大腸がんだという。忙しくとも、定期的に検査を受けよう。

腸内菌叢

2024/10/30

発がん性物質_PFAS(その3) 一定数値超なら水質改善義務化へ 環境省方針 
全国の河川やダム周辺などから発がん性が懸念される有機フッ素化合物(PFAS)が検出されている問題を受け、環境省がPFASについて、法的義務を伴わない現行の「暫定目標値」から水道法上の「水質基準」の対象に格上げする方向で検討していることが19日、政府関係者への取材で分かった。水質検査や、濃度が一定の数値を超えた場合の水質改善といった対応を水道事業者に義務付ける。

日本水道協会の最新の水道統計で、一定の数値を検出した地点が確認され、基準格上げの要件を初めて満たした。現在は目標値を超過しても対応は努力義務にとどまる。水質基準では現在、ヒ素や水銀など51項目が指定され、満たすべき濃度基準などが示されている。

PFASは水や油をはじき、熱に強い特徴があり、フライパンのコーティングや食品包装など幅広く使われてきた。米軍や自衛隊基地、化学工場周辺で検出される事例が多い。

暫定目標値は、1万種類以上あるPFASの代表物質PFOAとPFOSの合計で、1リットル当たり50ナノグラム(ナノは10億分の1)。環境省の2022年度の調査で、全国16都府県の河川や地下水など111地点で暫定目標値を超える濃度で検出された。

水道統計の対象は主に市町村が運営する約1300の上水道事業や、都道府県などが市町村に水を供給する100近くの水道用水供給事業など。22年度の水道統計で、基準格上げの要件の一つになっている「暫定目標値の10%超過」となった地点が20~22年度の3年連続で初めて確認され、それまでの検出状況と合わせて格上げ要件を満たした。

環境省は今年7月、有識者会合で目標値の見直しに向けた議論に着手。同省関係者は、基準格上げは汚染状況の推移なども含めて総合的に判断するとした上で「(格上げの)要件を満たした事実をもって有識者会合で議論していく」と話した。

PFASの構造

2024/10/28-2

(特集)発がん性物質_PFAS(その2)PFAS汚染源の特定阻む米軍の壁 沖縄や本州 基地周辺で検出相次ぐ(
各地の在日米軍基地周辺で、高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)が相次いで検出されている。専門家は基地から漏れ出た疑いを指摘するが、日米地位協定の壁が立ちはだかり、自治体による基地内の調査はままならない。発がん性など人体への影響が懸念され、独自に実態解明に乗り出す市民団体もある。沖縄では対策費が膨張し、水道料金に転嫁される見通しだ。

・地位協定で自治体調査進まず

「基地のある限り、粘り強く立ち入り調査を求め続ける」。沖縄県の玉城デニー知事は7月、県議会で訴えた。県内では、米軍基地周辺の水源や水道水からPFASが相次いで確認されている。2020年4月には、普天間飛行場(宜野湾市)の外へPFASを含む泡消火剤が14万リットル以上流れ出て、白い泡の塊が住宅地を舞った。

21年6月にも、うるま市の米陸軍貯油施設で流出。この2件では県の立ち入り調査が認められたが、16年以降に申請した計6件の立ち入りのうち、残り4件は日米地位協定により基地の管理権を持つと定められている米軍が応じていない。

防衛省は「日米の調整に支障が生じる恐れがある」として、具体的なやりとりを明かしていない。保守系県議は「もっと強い姿勢で交渉するべきだ」とこぼす。

本州の米軍基地周辺でも検出が相次ぐ。東京都の市民団体は今年3月、青森県の三沢基地周辺の池から、国の暫定目標値を超す濃度を確認したと発表。青森県、三沢市も調査に乗り出し、6月、高濃度の検出結果を公表した。

東京都の横田基地では10~12年、PFASを含む泡消火剤の漏出が3件あったことが昨年7月判明した。米側は「基地外への流出があったとは認識していない」としているが、市民団体の調査で、周辺住民の血液から高濃度のPFASが検出されている。

神奈川県では22年、横須賀基地の排水から高濃度の値を検出し、厚木基地の米軍格納庫から泡消火薬剤が流出した。神奈川県の担当者は、事故状況などについて米側の情報提供は不十分だとして「原因が分からなければ適切な対策を取れない」と指摘した。

・「命に関わる問題」訴え 沖縄 市民団体が独自調査

PFASの問題に取り組む沖縄県の市民団体「宜野湾ちゅら水会」の町田直美代表(68)は約5年前から米軍基地への立ち入り調査を要請し続けている。2020年の普天間飛行場(宜野湾市)からの流出を受け、隣接する小学校の土壌を調べ、高濃度のPFASを検出した。「住民の命に関わる問題だ」と訴える。

飛行場の近くでカフェを営んでおり、小さい子どもを持つ親から健康面への不安も多く聞くという。PFASについて「県民が、基地問題を自分事として考えるきっかけにしてほしい」と語る。

PFASの問題に取り組む市民団体の動きは広がっている。東京都の「多摩地域の有機フッ素化合物汚染を明らかにする会」(当時)は昨年12月、東京・多摩地域の一部の地下水から、国の暫定目標値を超えるPFASを検出したと公表。情報発信にも努めている。

沖縄の「インフォームド・パブリック・プロジェクト」は、県内のPFAS検出状況をまとめた地図をネット上に公開している。代表の河村雅美さんは「基地が多い本島中部で汚染が深刻だと分かる」と話す。

河村さんは市民の安全のため、公費による住民の血液検査など積極的な姿勢を県が示すことも必要だと指摘。「地元自治体が実態解明への本気度を示して状況証拠を積み重ね、国や米軍側に発信していくべきだ」と訴えた。

・水道料金に対策費転嫁

沖縄県は、水道料金を10月以降段階的に値上げする方針だ。2026年4月には1立方メートル当たり135・70円と、現在と比べ3割超の値上げとなる。設備改修や電気料金の高騰が主な要因だが、うち約1割はPFASの汚染対策の費用で、住民に負担が転嫁される格好だ。

県によると、16年ごろから米軍基地周辺のPFAS汚染が明らかになってきた。水質浄化設備の導入など16~23年度に投じられた対策費は約34億円。県が約14億円を負担し、残りは沖縄振興一括交付金や防衛省の補助金でやりくりした。今後数年も、設備の維持費などで年に10億円程度の経費が見込まれる。

・基地からしみ出たと推測

京都大の原田浩二准教授(環境衛生学)の話 米軍基地周辺での高濃度の検出は、基地内で使われてきた泡消火剤が外に染み出したと推測できる。発生源の特定や除去ができなければ改善は難しく、大量流出の危険も隣り合わせだ。米側は基地の土壌調査に協力し、どの程度の量をいつごろから使用したかといった情報を公表すべきだ。内閣府の食品安全委員会は、子どもの出生時の体重低下について関連を「否定できない」としている。リスク予防に向け、汚染源の特定や漏出への対策が不可欠だ。(共同)

がん細胞(イラスト)

2024/10/28-1

(特集)発がん性物質_PFAS(その1) 岡山・吉備中央PFAS 発覚1年 国基準超 検出続く 土壌に残留、溶出か 住民「早急に対策を」
岡山県吉備中央町の円城浄水場(同町上田西)から発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で、浄水場の水源だった周辺の沢やダムから国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム=ナノは10億分の1)を大幅に上回る濃度の検出が続いていることが16日、県への取材で分かった。水道水の安全が根底から揺らぎ、町の不適切な対応も指摘された問題は発覚から17日で丸1年。抜本対策が急務にもかかわらず、汚染の改善は今なお見通せていない。

県は問題が発覚した昨年10月以降、2カ月ごとに4地点(4月から5地点)で水質調査を続けている。過去と比較可能な4地点で今年8月の結果をみると、発生源とされる使用済み活性炭が置かれていた資材置き場(同町上田東)付近の沢は目標値の96倍に当たる4800ナノグラム、下流の河平ダムでも32倍の1600ナノグラムが検出された。

この2地点は調査開始時を上回る。資材置き場にあった使用済み活性炭は既に撤去されているが、県の担当者は「土壌に残ったPFASの溶出が続いているとみられる」と推測する。

町が設置した外部有識者による原因究明委員会は今年9月、使用済み活性炭を発生源と考えることが「妥当」と報告書で結論付けた。資材置き場の土壌を掘削除去し、清浄土壌で埋め戻した後にコンクリートなどで覆う手法が効果的とする汚染対策も示している。

ただ、具体化はしていない。町によると関係者間の調整が続いている状態で、資材置き場を管理する地元財産区が、使用済み活性炭を保管していた企業に対し原状回復をこれから要望していくという。

住民団体「円城浄水場PFAS問題有志の会」の小倉博司代表(71)は「PFASによる汚染を止めることが急を要する課題なのにできていない」と早急な対策を要求。町が近く、全国で初めて公費で実施する住民の血液検査も「検査後の対応が何も決まっていない。今後、結果に不安を抱く住民のケアをどうしていくかを含め町と話し合っていきたい」と話す。

問題を巡っては、町が目標値を超える濃度を検出しながら県に虚偽の報告をしていたことなどが判明。その後、県の調査で浄水場上流部の資材置き場に使用済み活性炭を入れた大型袋「フレコンバッグ」が多数置かれているのが発見された。浄水場の水源は変更している。

町の対応も問われる中で山本雅則町長は「血液検査をはじめ町民の安心につながる取り組みをスピーディーにやっていく。風評被害対策も進めていきたい」とする。

PFAS廃水
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金ひげ先生
製薬企業で25年間新薬の研究に従事し、感染症・免疫炎症・中枢領域の医薬品研究開発に深い知識を有する他、国内外の最新医療動向にも詳しい。 最近は漢方やハーブ等、東洋医学にも強い関心をもつ。 薬学博士(Ph D、東京大学)、食品保健指導士、健康食品管理士/食の安全指導士、薬草コーディネーターの資格を保持。

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