2024/7/18
カマンベールチーズ中の成分が中高年の精神活動をサポート
株式会社明治はヒトを対象とした臨床研究で、カマンベールチーズに含まれるオレイン酸アミドを継続的に摂取することで、日本人中高年の認知機能の維持や、睡眠の改善に寄与する可能性が示されたことを発表した。
(金ひげ先生コメント)認知機能の改善効果が報告された食素材は多くありますが、どの素材がどの程度の効果を示すのか、比較した報告はほとんど皆無だと思います。本ブログで取り扱ったアルツハイマー型認知症の補完代替療法に記載しましたが、一部の食品では認知症のような病気に伴って起こる認知機能の低下を遅らせる効果が報告されています。多くの食品に認められた認知機能改善はあくまでも、健常者の加齢に伴う認知機能低下に対する作用だと思いますが、それでもヒトの名前をすぐに忘れちゃったり、うっかりすることが多くなる中高年の方にとっては十分ですよね・・・。「どの食材にどの程度の改善効果があるのか」を知りたいですし、食材ごとの認知機能改善メカニズムが判れば、医薬品との組み合わせやほかの治療法とのベストな組み合わせが提示できるようになるかもしれませんね。
![カマンベールチーズ - あぽてけ診療所](https://wellness-science.tokyo/wp-content/uploads/2024/07/カマンベールチーズ-1024x768.jpg)
2024/7/18
エッセンシャルオイルの生物的活性のメカニズム
エッセンシャルオイル(精油)は、アロマによる鎮静効果や気分を高揚させるだけでなく、様々な生理活性作用があり、多くの研究が進められている。この総説論文では、精油が持つ生理活性の根源的なメカニズム、特に抗酸化作用・抗菌作用・抗がん作用・抗糖尿病作用・抗炎症作用のエビデンスが論じられている。
「Future Integrative Medicine」掲載論文(オープンアクセス):「Exploring the Molecular
Mechanisms and Therapeutic Potentials of Essential Oils: A Systems Biology Approach」
https://www.xiahepublishing.com/2835-6357/FIM-2023-00071
(金ひげ先生コメント)集中して仕事をしたい時、気分を切り替えたい時、私もよくアロマオイルやお香を使います。匂いって不思議ですよね・・・脳を直接刺激してくれて、即効性が実感できます。
皆さんはどんな香りが好きでしょうか? 私は幼い時からとにかく香りが好きだったらしく、両親からは調香師になったらどうか、と言われていました。
私がお香の中で一番好きな「伽羅」には、昔から高いリラックス効果/鎮静効果と抗菌作用があるといわれています。また、バラの香りには安眠効果や自律神経を調える効果があり、その香りが美容にも良いそうです。もっと生活の中に「良い香り」を取り込めば、豊かな生活が送れるかもしれませんね。
![IMG_0968 - あぽてけ診療所](https://wellness-science.tokyo/wp-content/uploads/2023/08/IMG_0968-1024x768.jpg)
代々木公園のバラ(photo by 金ひげ先生)
2024/7/17
断続的絶食は腸内細菌への影響を通じ、体重管理に有効
米アリゾナ州立大学のグループは、体重過多/肥満の中年被験者(女性27 名、男性14 名)を対象にした臨床研究において、「間欠的な断食(断食と食事の期間を繰り返す)」とタンパク質ペース配分療法(一日を通して均等にタンパク質を摂取する食事)を併用した場合に腸の健康(=胃腸障害の症状が減少し、腸内細菌叢の多様性が増加)・体重減少・代謝反応の著しい改善が見られたことを発表した。この効果は単純なカロリー制限で得られた改善効果よりも著しく大きかった。
「Nature Communications」掲載論文(オープンアクセス):「Gut microbiome remodeling
and metabolomic profile improves in response to protein pacing with intermittent fasting
versus continuous caloric restriction」https://www.nature.com/articles/s41467-024-48355-5
(金ひげ先生コメント)以前(10年前ほど)盲腸の手術を受けた際に、丸2日間絶食(何も食べない)をしましたが、不思議と頭が冴えてくる感覚がありました。それ以来私は断食したことがありませんが、美容・健康法としてある程度確立されてきていることから考えても、確かに効果があるんだと思います。これは有名な実験ですが、(かなり厳格な)カロリー制限下で飼育した動物(サルやマウス等)は、老齢になっても毛並み・皮膚の状態が良く、さまざまな病気にも罹りにくく、通常の餌を与えた動物と比較して見た目も若く維持される、という結果が複数存在します。この現象は科学的にある程度検証出来ていて、加齢により体内に蓄積される不要なたんぱくが、カロリー制限下により除去されることに起因すると考えられています。ただやはり絶食はツラいので、摂取することで断食したのと同じような効果がある食品や医薬品も研究されています。
![IMG_0163 - あぽてけ診療所](https://wellness-science.tokyo/wp-content/uploads/2024/07/IMG_0163-1024x768.jpg)
恐山宿坊:吉祥閣でいただいた朝ごはん(photo by 金ひげ先生)
2024/7/15
アレルゲン食品であるナッツ類も粉末化などの工夫で離乳食初期から安全に摂取が可能
国立成育医療研究センター(NCCHD)が確認
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240614-2966011/
国立成育医療研究センター(NCCHD)は6月13日、食物アレルギーの発症予防のために、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対してナッツ類を含むアレルゲン食品を0歳から離乳食として早期摂取できるかを評価するため、卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、クルミ、カシューナッツを生後6か月頃の離乳食初期から少量ずつ摂取することと、ピーナッツやナッツ類は、窒息や誤嚥をさけるために、そのものではなく市販のパウダーやペーストを利用して離乳食に混ぜるように指導した結果、実験に参加した34名の赤ちゃんが全員、2歳までには卵、牛乳、小麦の摂取が可能であり、ピーナッツやクルミも窒息や誤嚥を起こすことなく約8割の乳幼児が摂取可能であることが確認されたと発表した。
(金ひげ先生コメント)私の身近にも本人やお子さんが食物アレルギーを持っている方が結構います。赤ちゃんの食物アレルギーは成長とともに改善するケースが多いですが、一部の方は大人まで食物アレルギーが残ってしまう方がいます。この記事にある、食物アレルギーの原因物質を少量ずつ摂取させて慣れさせる方法を「減感作療法」といいますが、分量を間違えると激しいショックを起こす可能性があるため、決して家庭では真似をせず、医師による厳格な指導の下で行ってください。食物アレルギーとしてはこの記事にある卵や小麦、そば、牛乳、ナッツが有名ですが、珍しい食物アレルギーとしては納豆やスパイス、人工甘味料に対する食物アレルギーがあるそうです。また、非常にまれですが、水に対するアレルギーを持つ人がおり、皮膚に水がかかるとその部分が腫れたり、水を飲むと息苦しくなったりするそうです。
![アレルギーマーク - あぽてけ診療所](https://wellness-science.tokyo/wp-content/uploads/2024/07/アレルギーマーク-1024x748.png)
2024/7/14
血液バイオマーカーにより、超早期段階の脳アミロイドPET検査結果を予測
MONOist‐https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2406/13/news016.html
東京大学は、血液バイオマーカーを組み合わせることで、アルツハイマー病に特徴的な脳内アミロイドβ(Aβ)の蓄積を検出するPET画像の結果を、超早期段階で正確に予測できることを発表した。スウェーデンのコホートでも結果は再現され、普遍性が示された。新潟大学らとの国際共同研究における成果だ。今回の研究は、日本人474人の血液検体を対象に実施。無症状だがAβの蓄積が始まっている発症の前駆時期(プレクリニカル期)や、認識機能の低下はあるが認知症に至っていないプロドローマル期(MCI期)の人を診断、追跡した。将来は予防や治療法の開発を目指している。
(金ひげ先生コメント)現在存在する認知症の治療はすべて、病気の進行を遅くするものです。
そのため、いかに早く認知症を発見し、投薬治療をスタートするか、が非常に重要です。早期に投薬を開始できれば、日常生活に支障がほとんどない状態を長くキープすることができます。これまでの診断法はテスト等による認知機能の確認が主となっていて、症状が出始める時期にならないと病気を見つけられませんでした。この記事の研究では、認知機能に影響が出始める前に病気を見つけることが可能です。治療薬の研究と併せてより研究が進めば、いずれは認知症と共存しながら、日常生活を普通に過ごせる時期が来るかもしれません。
![緩和ケア2 - あぽてけ診療所](https://wellness-science.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/緩和ケア2-1024x683.jpg)
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